十分の一の力も出せなかった負け試合が悔しい、十分の一の力も出せてなかったから当然惨敗だった。
この日は仲間の運転で私が助手席に、二人だった。
出発時に今日は頑張ろう、帰りはまた頑張ろう。負け内容が悪かった分に反省材料が尽きない、車内で会話が盛り上がる。
「バドミントンは本当に難しい、練習で手応えを感じると嬉し、でも試合に出ると全く通用しなくて、ああ、練習が足りない、もっと練習しないとねの繰り返しよね!でも練習時間を増やせても体がついていけてないが現実だし。どうしたらいいかしらね。」
A子さんの声は明るかった。嘆きの中にも前向き感がある。
「本当にそう思う、まあ、無理のない範囲内でやり続けるしかないかもね。実際1年前と比べれば上手になったからね。問題は年齢による体力の低下だ。私達はラケットを置いて超つまらない、苦しいフットワークと筋トレを練習メニューに加える方がいいかもね。」
「子供がやっているようなものですか?」
「やれたらやってもいいじゃない。まあ、でもやっぱりやりたくない。やったら一週間寝たきり状態になるね。」
私はA子さんの質問を真剣に答えたが、彼女は笑いを噴出した。
「そうなら、家事、バイトはお休みになるけど、家事代行サービス代はへそくりから捻出しないといけない、バド代もひびく、家族に顰蹙を買うわ。家内平和の危機を招くリスクあるね。やめよやめよ。」
二人はげらげら笑いだして、私はA子さんの発想に負け試合の悔しさが幾分に和らげた。悔しさがあるから頑張りたい気力が湧くと思う、ならば、悔しさはモチベーション上げサプリと言える。今日はモチベーション上げサプリを飲んだ。苦いけど仲間がいて良かったことを改めてしみじみ感じる。
しとしと雨の中、渋滞なく車がスムーズに走る。エアコンをつけないとフロントガラスが曇る、半袖のウエアー1枚では少し肌寒いが気持ちいい。たわいない車内会話は30分続きで彼女が車を家の前に止めてくれた。お互いが明るい声で「またね!」を言い、私は車から降りて彼女を見送った。