バドミントンの試合は三ゲームの二ゲーム先取が勝ちとなる。
私が必ず参加する地元の試合は今週にあった。恐らく体育館の使用時間の関係で運営大会はデュース無しの21点制に決めた。デュースがないから、泣いても笑っても先に21点を取った方が1ゲームゲットになる。そして各グループの一位が次週のトーナメント戦へ。
ということで、優勝を目指すならグループ突破が必須条件、このことを箱抜けとも言うのだ。
一つのグループは4チームの総当たり戦、今までの経験で言うと、箱抜けしたチームは全勝するのが多い、2勝1敗でサッカーのように得失点差による上がることは稀だ。
勝てる自信は何処にもない、自分より体格の良い相手が目の前にいるだけでビビりまくる体質の持ち主だ。常に最初から全力発進でファストゲームを取りに行くが、逆に取られた時点でファイナルゲームを繋ぐにはなんとしてもセカンドゲームを取らなければいけない状況に追い込まれると、そのプレッシャーは大波のように私を叩きつけるのだ。
それが試合と言うものだ。
私は一試合目に弱いタイプで、とにかく緊張して思うように動けない、ミスショットが頻発する悪い癖がある。とても致命的だ。
【一試合目】対戦相手は私達より若い
【1ゲーム目】試合早々に自分のサーブミスとサーブリターンミスで相手に4点を献上した。
中盤には挽回したが、結局は落としてしまった。
【2ゲーム目】もう勝たないと
ここはパートナーの適正のアドバイスで僅差で勝った。
【ファイナルゲーム】かなりのプレッシャー
始まりはまた1ゲーム目のように悪い流れで、追いついた時点ですぐひっくり返された。
終盤は17:19で追いかけている。相手に1点も取られたくない、しかし相手は2点を取ればいい。私達が許される失点はあと1点だけだ。
パートナーが私に、ここから4点取るぞと言った。彼女はメンタルが強い、頼もしい。
私が出来ることは、頷いて「はい」と返答しただけだ。自分はどんな顔になっているのか?きっと強張っているだろう。
あとは球を見る、球を見ると小声で自分に言い聞かせた。
彼女は今日のショートサブのミスが多かった。ここでロングサブに切り替えて功を奏した。
19:20になった。相手はミスしてくれないかな?ミスして欲しいよ。こう思う余裕すらなかった。どこんと追い詰められた。
私が取った策は、来た球をとにかく長めのスマッシュで返した。決めに行く欲を抑えた。
ラリーが続いている中、運よく甘い球が来た。パートナーが逃さず決めてくれた。
20:20 相手も余裕がなくなった。私がサブする番、安全策を取ってショートサーブにした。ショートサブだから後ろに下がらないで、前でしっかり構える。相手も安全策を取っただろうか、コートの奥までに高く上げてくれた。相手に攻撃させないためにパートナーが安全コースに強いスマッシュで攻撃した。
こういう時、相手はストレートでもう一回球を上げてくるか、低くめのドライブで帰って来る確率が高い。
相手が上げた球は私の頭上に高く超えた。しかし少しコートの外に落下した。
ラッキー!この瞬間、ずっと強張っている頬が緩んだ。安堵した。
【二試合目】一試合目のペアより若い。身長は私達より高い、スマッシュは強そうだ。
彼女達は一試合目を勝った。その試合を見させてもらったところ、ここが山場だと分かっていた。
【1ゲーム目】予想通りに苦しい展開で始まった。
接戦した中に、何処かで主導権を握りたいと思いつつ全く出来なかった。3点リードした場面もあったが、ズルズルしているうちに同点された。
20:20になった時、相手がサーブミスした。
わーぉ、これもラッキーでしか言いようがない。今日の運勢占いは良かったかな。
応援に来た仲間のところへ走ってグータッチした。主審は私が試合を勝ったように目に映ったかもしれない、神妙な顔をした。
【2ゲーム目】
ファストゲームを取れたから少し気が楽になったが、でも私は普段通りに戻れなかったことにパートナーは気づいていた。
「ゆっくりに行こう」と私を落ち着かせようとしていた。
今日は蒸し暑かった。汗が全身の毛穴から噴き出た。ユニフォームの左袖で顔を拭い、パートナーに合図を送ってラケットを構えた。
終盤に差しかかる時、また一試合目のような試練が伸し掛かった。
あと1点が取られたらファイナルゲームに入る。ここで止めたい、今日の私達の調子は本当に良くなかった。
ここから3点を取る。パートナーが言った。そうです、スコアは18:20だ。
冷静を装って、心の中では球が私の方に来ないでくれよと願った途端に、球はもう私に飛来した。
こういう時はラリーの我慢比べだ。相手だって決め急ぎでミスしてくれる可能性があるからだ。
20:20 あと一球で決まるのだ。
無我夢中の中に、最後は私に来た球を反射的にクロスネットの少し離れた所に切り返した。相手は一歩も動けなかった。
前にいるパートナーが振り返ってびっくりした表情でじっと私を見ていた。
「今日はここだけが冴えてたかも。」私は笑顔がこぼれて彼女に言った。そして主審の所へサインしに行った。
【三試合目】
もうのんびり出来る。
そして箱ぬけした。
山盛りの反省点を糧に次週のトーナメント戦へ。